先日の宮崎日日新聞のニッポン診断というコーナーで
「地方移住促進 歓迎の雰囲気をつくろ」
というタイトルの寄稿がありました。
NPO法人地域おこし事務局長の多田さんが書かれたものでした。
内容は、地方創生における地方への移住促進についてです。具体的には、
・全国的に移住相談が増えている。
・全国の自治体では、予算をかけてPRや優遇施策で移住者の誘致合戦が行われている。
・一方で移住者が人間関係をつくれずに定着していない。
・移住者が地域に溶け込もうとし、地域が「よそ者」に対して閉鎖的でなくオープンな時に定着すると感じている。
・自分が移住した集落では、新潟県中越地震でボランティアが入りそれ以降、集落の人がオープンになった。
・行政が躍起になっても、地域の人が移住者を歓迎しない閉鎖的な雰囲気ではうまくいかない。
・行政も地域住民も一緒になってよそ者を歓迎する雰囲気をつくるべきである。
といったことが書かれてあります。
多田氏がこういった内容の寄稿をしようと思い、寄稿をしたのは、多田氏が大きな課題と感じ思っているからでしょう。
更に、別の日の宮崎日日新聞には
「Uターン者を村八分 大分弁護士会が是正勧告」
という大分県のある集落の記事がありました。
私は串間市の青年の人材育成事業を串間市と一緒に行っています。その一環として先日うちの事務所にで研修会と交流会を行いました。
講師として、日之影町大人地区の甲斐睦彦氏に来てもらい、大人地区の取組について話をしてもらい、その後、【九州つなぎ隊】の隊員も加わって意見交換を行いました。
大人地区は、うちのNPOが中山間地域に関わりだした9年前から関わってきたところで、当初から現在まで、その特徴や変化を見てきました。
この地区は九州で唯一農村歌舞伎が残っていたり、夜神楽も続いています。これは地域のつながりの強さを表しています。
一方で、外部の人との関係性はどうであったかというと9年前に最初に関わった時の雰囲気は、正直厳しいものでした。
しかし、時間と機会を重ねるほどに、その厳しさは緩み、今では第二の居住地と言っていいほどの関係になりました。【九州つなぎ隊】でボランティアを募り、大人地区での活動に関わる時も隊員のリピーターが多いのです。
これは大人地区に限らず、受け入れの上手い地域の特徴ですし、指標でもあります。
だから、安定して伝統文化が継続され、祭りの復活などさらに進んだ発想と展開にもつながっているとも言えます。
大人地区ではさらに地区で農業協同組合を立上げ今年から小水力発電による売電事業も始めました。
これも外部である大学などの協力があってのことですし、売電となれば企業とも組まなければなりません。
この9年で大人地区はドンドン進化してきています。串間市の研修では、こういった話をしてもらいました。
私の串間市の青年への最後の話は、
「外部から入る人(移住者など)には、地域に溶け込むスキルや溶け込む必要な時間と関係性づくりの機会というものが必要だと思います。
受け入れる地域も、“受け入れるスキル”というのが必要になります。ということは、そのスキルを身に着けるトレーニングが必要ということです。
これは移住に限ったことではないと思います。
観光に訪れた人に対しても同じことが言えると思います。一方的な思い込みの“おもてなし”は、相手が喜んでいるとは限りません。
では、どうするか。簡単です。
・自分がよその地域に出かけて“外部の人”となって、外部から地域に入った時にどう感じ、何が心地いいのかを自ら体験する。
・串間市で、大人地区のように繰り返し外部の人を受け入れて地域住民の受け入れのスキルアップを行う。
という具体的な取組が必要でしょう。
この両方の仕組みがあるのが【九州つなぎ隊】なのです。」でした。
もう一つ、移住された方も【九州つなぎ隊】に登録して、活動をされることをお勧めします。
その理由は、
・移住地域以外の知り合いができること。
・移住地域の愚痴が言える場ができる。
・遊びに行くところができること。
等です。
私たちが中山間地域に9年関わってきて、【九州つなぎ隊】の役割の大きな柱の一つだと考えています。